スリランカでは観光客の増加に伴い、ツーリスト向けタクシー車両が関係する交通事故も年々増加しています。
実際、2019年の年末には、ある外国系旅行会社のツーリストカーが高速道路上で事故を起こし、乗客が巻き込まれる死亡事故が確認されました。
当社のスリランカタクシーチャーターサービスでも無事故の優良ドライバーのみを採用し、安全運転に努めておりますが、それでも事故の可能性を100%なくすことはできません。
万が一の事態に備えるため、お客様ご自身で海外旅行保険に加入されることを強くおすすめいたします。(事前のご案内メール等でもお願いしております。)
お客様が安心・安全にスリランカ旅行を楽しむために、どうかご理解いただければ幸いです。
※なお、以下で述べる内容はスリランカのどの旅行会社やタクシーサービスにも共通する一般的な事情です。
スリランカで海外旅行保険が必要な理由
結論から申し上げますと、スリランカ旅行では必ず事前にご自身で海外旅行保険に加入する必要があります。
その理由は、現地の車両保険だけでは十分な補償が期待できないためです。
スリランカでは法律により全ての車両に保険加入が義務付けられており、タクシー等の商用車も保険には入っています。しかしその補償額は非常に低く、たとえば死亡事故の場合でも補償金は日本円で約30万円程度に過ぎません。
また、外国人旅行者が現地の保険金を請求する手続きはハードルが高く、スムーズに受け取れる保証もありません。
つまりスリランカにおける車両保険の補償はごくわずかで、実質的には「ないに等しい」と考えたほうがよいのです。交通アクシデントへの備えは、現地のどの観光アクティビティでも基本的に「自己責任」であり、事故によるケガの治療費や損害に備えるには、お客様自身で海外旅行保険に加入しておくほかありません。
「自分は悪くないのに、どうして自分で保険を用意しなくてはいけないのか?」と疑問に思われるかもしれません。
お気持ちはもっともですが、残念ながら海外ではこうした自己責任が常識となっている国が少なくありません(実はアメリカなども似たような状況です)。
海外では「自分の身は自分で守る」が当たり前ですので、理不尽に感じても受け入れるしかないのが現状です。スリランカも例外ではなく、万一に備えてご自身で保険を準備しておくことがとても大切になります。
以上の理由から、当社ではご利用のお客様に必ず海外旅行保険(クレジットカード付帯保険を含む)へ加入していただくようお願いしております。
保険に加入していただくことで、もしもの際にも安心して適切な治療を受けられますし、金銭的な負担も大きく軽減されます。
クレジットカード付帯の海外旅行保険を有効活用
「保険に入るとなると余計な費用がかかるのでは?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしご安心ください。実は、クレジットカードに付帯する海外旅行保険を利用すれば、追加の保険料負担なく(無料で)旅行保険を確保することも可能です。
ポイントは「自動付帯」の海外旅行保険が付いたクレジットカードを活用することです。
自動付帯とは、そのカードを持っているだけで海外旅行保険が有効になる仕組みのことです(特別な手続きや旅行代金の支払いは不要です)。
海外旅行傷害保険が「自動付帯」(カードを持っているだけで出国時に自動的に保険が有効)となる日本国内発行のクレジットカードを、年会費別に整理しました。
各カードのカード名、発行会社、国際ブランド、補償内容(傷害死亡・後遺障害、傷害治療費用、疾病治療費用、携行品損害、賠償責任、救援者費用)および保険適用期間/条件を以下の表にまとめます。基本的に保険適用期間は出国日から90日間ですが、一部カードでは異なる期間設定があります。公式サイトや信頼できる情報源への参照リンクも付記しています。
年会費無料または低年会費のカード(自動付帯保険あり)
以下のカードは年会費無料(または千円程度)でありながら、海外旅行保険が自動付帯されます。保険金額は高額ではありませんが、旅行中の基本的なトラブルに備えることができます。
カード名(発行会社) | 国際ブランド | 傷害死亡・後遺障害 | 傷害治療費用 | 疾病治療費用 | 携行品損害 *1 | 賠償責任 | 救援者費用 | 保険期間・適用条件(概要) |
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NTTファイナンスBizカード(NTTファイナンス)【無料】 | Visa/Mastercard | 2,000万円【注】 | 50万円【注】 | 50万円【注】 | -(適用なし) | -(適用なし) | -(適用なし) | 出国から90日間(利用条件不要の自動付帯)。無料ビジネスカードだが個人でも審査可能 |
学生専用ライフカード(ライフカード)【無料】 | Visa/Mastercard | 2,000万円 | 200万円 | 200万円 | 20万円(自己負担3,000円) | 2,000万円 | 200万円 | 出国から90日間(学生限定、持っているだけで有効) |
エキサイト (Excite) Mastercard(ポケットカード)【無料】 | Mastercard | 2,000万円 | 200万円 | 200万円 | 20万円(自己負担3,000円) | 2,000万円 | 200万円 | 出国から30日間(自動付帯。長期旅行には不向き) |
JAカード(三菱UFJニコス※)【条件付無料】 | JCB/Visaなど | 2,000万円 | 200万円 | 200万円 | 20万円(年間限度額) | 2,000万円 | 200万円 | 出国から90日間(自動付帯。年間利用等の条件クリアで年会費無料) |
ライフカード Stella(ライフカード)【年1,375円】 | Visa/Mastercard | 2,000万円 | 200万円 | 200万円 | 20万円(自己負担1事故3,000円) | 2,000万円 | 200万円 | 出国から90日間(自動付帯。女性向けだが男性も申込可) |
【注】NTTファイナンスBizカード(レギュラー)の海外旅行保険は傷害死亡2,000万円、自動付帯の傷害治療・疾病治療各50万円程度と簡易的です。
*1 携行品損害は1個・1組あたり10万円が限度(一般的な約款条件)。
因みに以前は自動付帯として海外旅行者が愛用していたエポスカードは2023年10月より海外旅行保険が「自動付帯」から「利用付帯」に変更されています(カードを所持しているだけでは補償されず、日本出国前に旅行代金等をカード決済する必要があります)。
ゴールドクラスのカード(自動付帯保険あり)
年会費が1~2万円程度のゴールドカードの多くは海外旅行保険が自動付帯です。無料カードより補償が充実し、特に治療費用や救援者費用が数百万円規模になるため安心感が高まります。
カード名(発行会社) | 国際ブランド | 傷害死亡・後遺障害 | 傷害治療費用 | 疾病治療費用 | 携行品損害 | 賠償責任 | 救援者費用 | 保険期間・適用条件(概要) |
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楽天プレミアムカード(楽天カード) 【年11,000円】 | Visa/Master/JCB/Amex | 5,000万円(自動4,000万+利用1,000万) | 300万円(自動) | 300万円(自動) | 50万円(自動30万+利用20万) | 3,000万円(自動) | 200万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。旅行代金をカード決済で死亡補償額増加) |
JAL CLUB-Aカード(JALカード) 【年11,000円】 | JCB/Visa/Master/Amex | 5,000万円(自動)* | 150万円(自動) | 150万円(自動) | 50万円(自動) | 2,000万円(自動) | 100万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。JALマイルが貯まる航空系カード) |
ANA JCBワイドゴールドカード(JCB) 【年14,300円】 | JCB(ANA) | 5,000万円(自動)* | 300万円(自動) | 300万円(自動) | 50万円(自動) | 10,000万円(自動) | 400万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。ANAマイルが貯まる航空系カード) |
ANA To Me CARD PASMO JCBゴールド(JCB)【年14,300円】 | JCB(ANA・東京メトロ) | 5,000万円(自動)* | 300万円(自動) | 300万円(自動) | 50万円(自動) | 10,000万円(自動) | 400万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。通称「ソラチカゴールド」カード) |
dカード GOLD(NTTドコモ)【年11,000円】 | Visa/Mastercard | 5,000万円(自動)* | 300万円(自動) | 300万円(自動) | 50万円(自動) | 5,000万円(自動) | 500万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。旅行代金決済で死亡補償1億円に増額) |
au PAY ゴールドカード(auフィナンシャル)【年11,000円】 | Visa/Mastercard | 5,000万円(自動)* | 300万円(自動) | 300万円(自動) | 50万円(自動) | 5,000万円(自動) | 500万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。旅行代金決済で死亡補償1億円に増額) |
JCBゴールド(ジェーシービー) 【年11,000円】 | JCB | 5,000万円(自動) | 200万円(自動) | 200万円(自動) | 50万円(自動) | 5,000万円(自動) | 200万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。国内外旅行傷害保険・ショッピング保険付き) |
エポスプラチナカード(エポスカード) 【年30,000円】 | Visa | 10,000万円(自動) | 300万円(自動) | 300万円(自動) | 100万円(自動) *2 | 10,000万円(自動) | 300万円(自動) | 出国から90日間(自動付帯。家族特約あり※) |
*印:JALカードやANA VISAカード等では旅行代金のカード支払いが必要な「利用付帯」条件がありますが、上表のカードはいずれも基本補償が自動付帯です(表中「自動」と記載)。
*2 エポスプラチナカードは家族カード会員や生計を同一にする家族も補償対象(家族特約)となり、携行品損害は合計100万円程度まで補償されます。
例えばANA JCBワイドゴールドはカード保有だけで傷害死亡5,000万円・治療費用300万円が補償され、ANA VISAワイドゴールドより補償額が高水準です。
dカード GOLD/au PAYゴールドもカード所持だけで死亡5,000万円・治療300万円等が補償され、旅行代金をカード決済すると死亡補償が1億円まで増額されます。
渡航前に加入できる海外旅行保険(有料プラン)
クレジットカード付帯保険以外にも、旅行出発前にご自身で加入できる海外旅行保険が各種あります。
AIG損保や東京海上日動、損保ジャパン、日本旅行協会提携の保険など、多くの保険会社が短期の海外旅行者向けプランを提供しています。インターネットや旅行代理店経由で手続きでき、出発当日でもスマホから申し込み可能な保険もあります。
有料の旅行保険に加入するメリットは、補償内容や金額を自分で細かく選べる点です。たとえば治療・救援費用を無制限補償に設定できるプランや、携行品損害・賠償責任までカバーした手厚いプランなど、ご自身のニーズに合わせてカスタマイズできます。
保険料はプラン内容や旅行日数、渡航先によって変わりますが、数日程度の旅行であれば比較的安価なプランも多くあります。
「クレジットカードの保険だけではちょっと不安…」という場合は、ぜひ有料の旅行保険加入も検討してください。特に小さなお子様連れのご家族や高齢の方を含む旅行、あるいはマリンスポーツなどアクティビティに参加予定がある場合などは、手厚い補償があるとより安心です。
最近では必要な補償項目だけ選んで掛け捨て加入できるリーズナブルな保険も登場しています。インターネット上で複数社のプランを比較できるサイトもありますので、条件に合った保険を探してみてください。
どれくらいの補償額を確保すべき?
では、海外旅行保険ではいくらくらいの補償額があれば安心なのでしょうか?最後に目安をお伝えします。
●スリランカ現地で治療を受ける場合の目安:ケガや病気の程度によりますが、スリランカで数日間入院(手術なし)した場合の治療費はおおよそ10万~30万円程度と言われています。手術を伴う1週間ほどの入院でも50万~150万円程度が一つの目安です。したがって最低でも200万~300万円程度の治療費用補償があれば、多くのケースで対応できると考えられます。
●日本に搬送して治療を受ける場合の目安:ケガや病気の状態によっては、「日本に帰国して治療を受けたい」という選択肢もあります。その場合、日本への医療搬送費用が非常に高額になります。目安として、日本で治療を受け直すことを前提にするなら700万~1500万円程度の補償額が必要とも言われます。なぜこれほど高額になるかというと、患者を日本へ移送する際に医師・看護師の同行費用や医療専用チャーター機の手配費、さらには民間機を利用する場合でもストレッチャー設置のために複数席を確保するといった特別手配の費用が発生するためです。現地で治療を続ける場合に比べて桁違いに費用がかかるケースがあることを覚えておいてください。
もちろん最終的には症状や状況次第ですが、「日本での治療を希望する」という最悪の事態まで考えるなら、少なくとも数百万円規模の保険金が下りる契約でないと安心できません。一般的に最低ラインは300万円程度、そして万全を期すなら1000万~1500万円ほどの補償を確保しておくと良いでしょう。
クレジットカード付帯保険だけで前述の高額補償をまかなうのが難しければ、やはり有料の保険も併せて検討すべきです。逆に、年会費を支払ってでも複数のカードを作り、合計補償額を引き上げるという方法もあります。例えば夫婦でそれぞれ複数枚のカードを持てば、家族全体でかなり高額の補償を無料で確保することも可能です。実際、海外渡航の機会が多い当社スタッフの一人は、年会費合計約2万円で8枚のクレジットカードを所持し、ご家族4人分の旅行に対して合計約2000万円の補償額を確保しているそうです。それだけ備えておくと、やはり安心感が違うと感じるようです。
ご自身の旅行スタイルに合わせて、「カード付帯保険の組み合わせ」か「有料保険への加入」あるいはその両方で、十分な補償額を用意しておきましょう。
まとめ
- スリランカでは万が一事故やケガに遭っても、基本的に自己責任(現地の保険はほとんど役に立ちません)。
- 海外旅行保険には必ず加入しましょう。クレジットカード付帯の保険でも構いません。
- 費用を抑えて保険を準備するなら、クレジットカードの自動付帯保険を活用するのが最もおすすめです。
- 万一に備えて、できれば合計で1000万~1500万円程度の補償額を確保しておくと安心です。(高額な治療・搬送にも対応できるように)
最後までお読みいただきありがとうございます。万が一の事態にも備えつつ、どうか安全・安心なスリランカの旅をお楽しみください。